【Q】北海道の林業業界の現在状況は?
【A】環境に配慮した計画的な森林整備を担う
1994(平成6)年に北海道造林協会が設立。1996(平成8)年5月には「林業労働力の確保の促進に関する法律」が施行され、
個別の機関・団体では実行できない総合的な担い手対策に取り組むため、
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協会内に北海道森林整備担い手支援センターが設置されました。主な活動内容は、林業の担い手の育成・確保、林業就業者の技術の向上、労働条件の改善などです。
北海道の森林は約560万haあり、全国の森林面積の約4分の1を占めています。針葉樹と広葉樹が混生し、湖沼や湿原、湖が多いなど広大で豊かな景観を形成しています。
また、環境に配慮した管理・生産活動を行う森林を認定する「森林認証制度」があり、北海道では約145万haが認証され、全国の認証森林面積の約6割を占めます。
現在、北海道では、環境に十分配慮した計画的な森づくりが行われています。
森林資源は、植えて、育てて、収穫して使うという循環の中で利用されます。林業はその循環を回す、再生産可能な産業なのです。木を収穫するまでには50年ほどかかりますが、
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近年は主に戦後に植えられた木が収穫期となり、伐採と植林が盛んに行われる状況になりました。
しかし、新型コロナウイルスによる経済の悪化で木材の需要が減少したため、
今後は収穫作業にも滞りが出ることが懸念されています。道では、需要拡大のための施策が始まっているそうです。
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【Q】人材育成・募集のための働きかけは?
【A】充実した研究制度でキャリアアップを確実に
当センターは国の事業である「緑の雇用」事業を行っており、就業者の技術習得度に応じた研修プログラムを用意しています。就業後1〜3年までは各年ごとに林業作業士、5年以上は現場管理責任者、
10年以上は統括現場管理責任者として研修を受け、段階的にキャリアアップできる仕組みです。
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受講には国の助成も受けられます。また、未経験者には3カ月程度のトライアル雇用があり、林業を体験することもできます。1年目研修は毎年30〜40名ほどが受けており、
安定的な人材の確保にもつながっています。
道の事業としては「林業担い手研修事業」があります。これまで3講座だったものが、2020(令和2)年度から8講座に増えました。
林業への就業希望者が対象の基礎研修では、機械の安全な使い方や林業作業の基礎知識を学べます。
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費用は無料です。これに合わせ就業相談も行い、人材の育成と誘致を同時に行っています。
他にも、「森林の仕事ガイダンス」というイベントでは各種ブースが置かれ、情報提供や就業相談に応じています。
トークショーも開催され、現場で働く人の生の声を聞くこともできます。
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【Q】林業業界でU・Iターンを目指す人へ
【A】持続可能な森林利用に貢献する誇りと志を持って
森林の仕事ガイダンスでは「北海道であれば就業場所はどこでもいい」という方がいますが、北海道は広く、環境には大きな地域差があります。冬の寒さも違いますし、
もちろん森林の植生も変わります。道内の主な林業地帯といえば旭川周辺や北見周辺、帯広周辺などが挙げられますが、
ぜひ、事前に調べるなり訪問するなどして、希望に合う就業地を見つけてください。
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北海道の森林は、国有林と道有林が合わせて約7割を占めています。そのため、林業は行政との関わりが非常に深く、
担い手の育成も、各振興局ごとに協議会を設け進められています。
疑問等がありましたら、自身が興味を持った地域にある振興局の林務課に問い合わせるのも良いでしょう。
また研究制度が整っていますので、技能や知識に関してはその中で習得することができます。参加者は道内各地から集まりますので、
企業を超えた横の連携ができ仲間作りにもなります。未経験のU・Iターン転職者でも、心配はありません。
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新しい取り組みとしては、林業のICT化が挙げられます。特に、下川町、芦別市などでは、産学官によるスマート林業の実証や実演会が行われています。さらに、
木材だけではなく、樹液や皮といった森林・木材に関わる様々な資源の活用も始められています。そのため、これからの林業従事者には、
既存の枠にとらわれない発想と、幅広い分野に興味を持つことが求められます。
最近では労働環境の整備も進み、女性の就業者も増えています。林業という持続可能な産業に、誇りと志を持てる皆様をお待ちしています。
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